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ゴッホとパッション

  1.  ゴッホ美術館へ
  2.  ゴッホと糸杉

 

ゴッホとパッション

ゴッホ美術館へ

油絵も好きでよく見ます。小さい時から教科書に載っているゴッホは見ていました。日本では「油絵といえばゴッホ」という方も多いのではないでしょうか。私はゴッホの大ファンです。何時からファンになったか、実は定かではありません。画集を見てからか、伝記を読んでからか、美術館で本当の絵を見てからか.....。


ゴッホの絵は年代により激しく変化していますね、描いた時の心象が反映されている...。短い波乱にとんだ人生、その時々の画家の描いた絵、それらを重ね合わせた総体が人を引き付ける、ファンになる、ということだと思います....少なくてもゴッホに関しては...。凡人の私には、どうあがいてもゴッホのような激しい人生は送れません。「自分にないものに惹かれる」という側面もあるのでしょうね。


あるきっかけでオランダに行くことになりました。旅行計画作成にあたっては、当然ですがゴッホ美術館訪問を組み込みました。アムステルダムは活気のある街です。タバコの吸い殻の投げ捨て、路面電車内のスリ、運河沿いの教会やアンネの隠れ家、王立博物館、コンセルトヘボウ、退屈しませんね。

 

ゴッホ美術館でまず目にしたのは、ゴッホのデッサンでした。数々の「手」のスケッチ....実はこれが最も印象に残っているのです。緻密です!油絵からは想像していなかった写実的な表現で、基本的な訓練に時間を費やしていることにビックリしました。ヨーロッパで画家になるとはどういうことなのか、改めて思い知らされた気がしました。オランダ時代の暗い色調の絵、フランスへ移動してからの色彩の変化もよーく分かりました。最後にみた「嵐の空の下の麦畑」「烏のいる麦畑」も強烈でした。


実の所、この文章はかなり前の記憶を思い出しながら書いています。何枚も何枚も見たのですが、ハッキリ目に浮かぶのは「手」のデッサンと2枚の「麦畑」しかありません。記憶とはそんなものですね。

ゴッホと糸杉

糸杉は地中海沿岸に広く分布しており、英語名はcypressです。cyprus(キプロス)の名称はそこに由来するとも言われていますね。ゴッホの有名な「星月夜」が描かれたのは、フランスの地中海に面したサン・レミです。ゴーギャンとの共同生活が破綻し、精神に異常をきたして精神病院へ入った時期の作品です。この絵はゴッホの心の状況を良く表しているとされています。確かに夜空は不気味な雰囲気が漂っていますし、糸杉も不吉な感じです。


しかし筆致にはいささかの乱れもありませんし、エネルギーに満ち溢れているように思われます。構成も素晴らしいし、配色も汚いどころか美しい。この作品を描いた時のゴッホの心の状況を知る由もありませんが、画家としての眼(心)はむしろ平静なのではないか、充実しているのではないか....。芸術とは不思議なものですね。


ところでキリストが磔にされた十字架は糸杉から作られたといわれています。神聖な木とも不吉な木とも記載されています。右下は地中海(正確にはエーゲ海)沿岸を旅したときに撮った写真ですが、温暖な気候によく調和している木だと感じました。

サン・レミの精神病院で療養中に描かれたゴッホの代表作。「星月夜」という表題で有名ですが、「-糸杉と村ー」という副題が付けられているように、左下の糸杉も重要な構成要素です。