三井記念美術館

「茶の湯の美学ー利休・織部・遠州の茶道具ー」のタイトルに惹かれて三井記念美術館へ行ってまいりました。日本橋三越本店のお隣で交通の便が良いところですから、訪問された事のある方が多いのではないでしょうか。かく言う私も何度も訪れており、最もよく訪れる美術館の一つです。三井本館の建物自体が重要文化財なのですね(写真)。

 

三井記念美術館が所蔵する凡そ4000点の美術品のほとんどは三井各家からの寄贈によるもので、特に茶の湯に関するものが全点数の半数を超えており、北家(約1900点)・新町家(約1050点)・室町家(約700点)からの寄贈が多く、国宝6点、重要文化財75点が含まれれいます。館内に国宝の茶室「如庵」内部が再現されているのもユニークですね。

 

三井高利(1622~1694)が江戸に三井越後屋を興して事業が発展し始めたころ、茶の湯は利休没後百年の遠忌に向かい武家に加え商家でも盛んにおこなわれるようになっておりました。三井家は二代高平、三代高房の時代に表千家と親交を深めました。その後11家に制定された三井各家でも茶の湯は嗜まれました。

 

 今回は茶道具全般が展示されておりました。お茶席で最も重要とされる掛物については、千利休と小堀遠州の消息が多い印象でしたが、村田珠光の山水図、武野紹鷗の消息、古渓宗陳の墨蹟、古田織部の消息なども展示されておりました。これだけ多くの利休自筆のお手紙を拝見できる機会は少ないのではないでしょうか。

 

また国宝の志野茶碗「卯花墻」、重要文化財の黒楽茶碗「俊寛」・唐物肩衝茶入「北野肩衝」・清拙正澄墨蹟「霊致別称偈」・玳皮盞「鸞天目」、他に大名物1点、中興名物7点などがあり、見どころ満載でした。展示物の写真撮影は禁止でしたが、ロビーには撮影OKの樂宗入作「あやめ写黒楽茶碗」が展示されておりました(写真)。

 

https://www.mitsui-museum.jp