福井県にある一乗谷朝倉氏遺跡は国の特別史跡に指定されています。戦国時代の城下町全体が遺跡となって残された278haにおよぶ広大な史跡です。この城下町は天正元年(1573年)に織田信長の軍によって瞬時に焼亡したため、出土品は1573年以前のものであることが確定でき、高麗茶碗が茶の湯のお茶碗として見立てられた時期の究明に大きな役割を果たしたのです。それを知って私の好奇心が暴れだしましたので、早速現地視察に行ってまいりました。
朝倉氏は但馬国たじまのくに(兵庫県)に住んでいた武士で、南北朝時代に越前守護・斯波しば氏に従って但馬から越前に入りました。応仁の乱を経て斯波氏を倒し(下剋上)、越前一国を治める大名になりました。一乗谷はその拠点なのですね。
この遺跡からは茶室と推定される遺構が発見され、各種の茶道具が出土しています。高麗茶碗については、刷毛目、斗々屋、蕎麦、井戸脇、堅手などの茶碗が見つかりました。これらの茶碗が1573年以前に日本に伝来したしたことが証明されました。
広大な史跡を要領よく見学するにはガイドさんに案内して頂くのがベストですね。事前に観光案内をチェックしてガイドツアーに申し込んでおきました。当日は観光日和の良いお天気に恵まれました。またガイドさんは郷土愛溢れるベテランで、豊富な知識を淀みなく熱く語ってくださいました。感謝々々。
一乗谷朝倉氏遺跡博物館には城下町(①)と朝倉館(②)のジオラマが展示されております。これらの見学ポイントを教えて頂いてからガイドさんと一緒に実際の遺跡(⑤⑦)を歩くと、建物こそありませんが雰囲気はつかめます。また復元された町屋(⑥)や武家屋敷もありますから、当時の暮らしぶりが一層リアルに感じられました。
博物館には出土品も多数展示されており、その主だったものもガイドさんから解説して頂きました。茶器は唐物磁器が圧倒的に多く、高麗物は少数です(③④)。茶道具類の出土した場所を下記刊行物から調べると、朝倉館とその周囲、武家屋敷、寺院、医師邸、職人頭の屋敷等から出土していることが分かります。当時の喫茶の広がりが良く理解できました。
復元された町屋を歩いてみますと、一般庶民の屋敷はとても手狭で、ここに一家何人が住んでいたのか気になるほどです。一方、武家屋敷の方は中級武家屋敷といえども敷地は広くてゆったりしていますし、使用人部屋や蔵もありました。まさに士農工商ですね。上級武家屋敷には茶室もあったのでしょうか...。
ちなみにツアーは約2時間で、参加費は博物館から遺跡までの往復バス料金込みでたったの500円でした。精力的にご案内頂きましたガイドさんには申し訳ないほどのfeeです...。
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館 編集・発行:
技 WAZA 出土遺物に見る中世手工芸の世界 2007年7月18日発行
「和」の空間 中世の座敷と技術 2008年7月25日発行
第18回企画展 一乗谷の医師 2010年7月発行
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館 編集・発行:
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館 ガイドブック 2022年10月1日発行
2023年7月14日改訂
https://asakura-mseum.pref.fukui.lg.jp